5月1日に平成から令和への改元が行われ、現上皇陛下から天皇陛下へ皇位の譲位が行われました。世間はお祝いムード一色でお正月みたいでしたね。令和一発目のブログはそれに関連した話題をお伝えします。
今回の譲位にあたってふと疑問に思ったことがあります。他の税理士の方や相続税法の受験者の方の中にも同じ疑問を抱いた方がいるんではないでしょうか?
どのような疑問かというと今回の譲位において話題になった「三種の神器」についてです。 八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の三つの宝物のことを言い、この三種の神器は皇位とともに皇嗣に引き継がれることになっています。この引継ぎについて相続税の規定には非課税とする文言があるのですが、贈与税の非課税規定には明記されていません。ということは贈与税の対象になってしまうのでは?と疑問に思ったわけです。
贈与税の非課税財産
まず贈与税が非課税となる財産はどのようなものでしょうか?実務でもよく出会うものを紹介します。
1 法人からの贈与により取得した財産 → 所得税の対象に
2 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。
3 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
4 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
5 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
6 相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産→相続税の対象
この他にも贈与税の規定にはいくつか非課税となる財産が列挙されていますがその中に先ほど申し上げた三種の神器に関する規定は見当たりません。
これって贈与税の対象?
お客様からよく質問を受けるパターンです。
(1)お年玉
お年玉は「社会通念上相当な額」であれば贈与税の対象にはならないと考えられます。この「社会通念上相当な額」というのが曖昧な規定ではあるのですが…要は常識的に考えてあまりに多すぎる場合には贈与税の対象となる可能性が出てきます。おじいちゃんから100万円、おばあちゃんから100万円といったもらい方は、常識とはかなりずれているように思うので贈与税のリスクがあります。
(2)医学部などの高額な学費の負担
祖父母が孫の学費を負担してあげることはよくあることだと思います。ただしこの学費が私大の医学部ともなると何千万の負担となってしまいます。この場合はどうでしょうか?
結論としては上記贈与税の非課税財産の2番目に記載してある事項に該当し、贈与税の非課税財産となります。高額ではありますが、扶養義務者のする養育費の支払いであるため非課税規定に該当することになります。ここで注意しなければいけないのは、学費を渡す際には必要な都度、必要な金額のみを渡すということがポイントとなります。一括で4年分の学費を贈与した場合には、この非課税の規定は適用されません。もしどうしても一括で渡したいという場合には別途教育資金の1,500万円の非課税規定が設けられているため、こちらを活用するのが良いでしょう(孫が卒業するまで元気でいる自信がないという方はこちらを…)
三種の神器の贈与税は?
結論から申し上げますと、今回の三種の神器の引継ぎは非課税となるようです。今回は生前退位による継承のため、皇室経済法で規定はありませんでしたが、それにかわるものとして退位特例法で贈与税は非課税となるよう付け加えられたそうです。
この話をすると、そもそも天皇陛下に贈与税や相続税がかかるの?と質問される方が見えます。三種の神器のような由緒物に関しては非課税の規定がありますが、そのほかの財産については一般の方々と同様に相続税や贈与税が発生します。実際昭和天皇崩御の際には、約20億円の財産を保有されており、現上皇陛下は約4億2,800万円の相続税をお支払いになったそうです。皇族の方々も相続税の納税には苦労されているようです。
編集後記
10連休は長すぎますね…後半持て余しちゃいました。若干体調も壊し気味。