確定申告も終わったので、その期間中に質問を受けた事例をいくつか紹介していきます。
不動産オーナーの方をお邪魔した際に、このようにおっしゃる方が見えました。「この部屋の方、もうこの半年も滞納が続いてる。この部屋の家賃が半年分ないから今年の収入は少なくなるよね?」
結論から申し上げますと、未収分の家賃も収入計上しなければなりません。つまりお金は入ってきていないのに税金を払わなければならないのです。これなら空室の方がまだましですね….
青色申告で確定申告をされる方は原則「発生主義」という方法により収益を認識します。この発生主義というのは、収益費用の計上を現預金の入金時ではなく、収入や費用の発生が確定した時点で計上するという方法です。この考えを賃貸経営に当てはめて考えれば、その部屋に誰か居住しているのであれば、お金を盛られるもらえないは別として、家賃をもらえる権利は発生しているのだから、収益計上をするということになります。
未収家賃の貸し倒れ
破産や倒産などによる法律上の貸倒れなら処理はしやすいですが、実務上は単に払えない、払いたくないといった理由で払わず、そのままいなくなってしまう、といったケースが多いように思います。そういった場合には
・借主が部屋を出ていった後、1年以上経過してから形式上の貸倒れで処理する
・借主に対し内容証明で債権放棄を通知し法律上の貸倒れで処理する
借主が所在不明で内容証明郵便を送る先がわからないといったケースでは、事実上の貸倒れ(回収先が債務超過、廃業、死亡、行方不明などでその全額が回収できないことが明らかな場合)ということで処理を行うケースが多いですが、その回収不能であると判断した証拠を残さなければいけません。他には裁判所で「意思表示の公示送達」という手続きを取ります。この手続きは 意思表示を相手方に到達させたいが,相手方が誰であるか分からないため,又は,相手方の住所が分からない(相手方が法人の場合には,法人及び代表者の所在が分からないことが必要)ために,意思表示を到達させることができない場合に,その意思表示を到達させるための手続です。 これにより債務免除の意思を相手方に到達させることができます。
どのパターンで処理するにせよ、根拠資料はしっかり保管するようにしてください。
また事業的規模(ある程度大きな規模、よく5棟または10室以上の賃貸不動産を所有する場合といわれます)の不動産賃貸かそうでないかによって、処理の方法が異なってきます。事業的規模の場合には貸倒が確定した年に貸倒損失として経費処理をします。そうでない場合には過去の年分の確定申告について「更正の請求」の処理をすることになります。更正の請求を何年分も出すのは大変なので、できるだけ貸倒損失で処理したいですね….
家賃の滞納は収入が入ってこないことも問題ですが、その後の処理も煩雑なことが多いです。保証会社などの活用や、管理会社などと相談して家賃の滞納を未然に防ぐ対策が必要ですね。
編集後記
子供のランドセルが届きました。4月から一年生です。