導入時は非常に話題になったマイナンバーですが、今ではすっかり影を潜めています。というのもマイナンバーができたことにより生活が便利になったことを実感できることがないことや、提出しない場合に罰則規定がないことがこの制度を形骸化させてしまっているからではないでしょうか?マイナンバーカードの普及率も1割程度にとどまっています。
私たちはお客様のマイナンバーを大量に預かる立場ですので、導入時はかなり苦労させられました。マイナンバーを預かるためにお客様と書面を交わし、従業員さんに記入していただいた書類を預かる際には、鍵のかかったキャビネットで保管し、システムにそのナンバーを入力し…..あの年の年末調整と、法定調書の作成はただでさえ手間がかかる作業なのに、さらに面倒な作業が加わり大変だった記憶があります。その苦労が何か報われたかというと…..何も変わっていません。こちらとしては余計な作業が増えただけという印象です。私が期待していたのが各種届出が国や市区町村、各省庁で一元化され、届出の枚数が減ることですが、全く進んでいません。同じ情報を国、県、市それぞれに提出することもあります。
またe-taxについても「e-Tax利用の簡便化」に伴い、平成31年1月から「マイナンバーカード方式」だけでなく「ID・パスワード方式」という、2つの方式が利用できるようになる予定です。「ID・パスワード方式」とは、マイナンバーカードやICカードリーダライタを持っていない場合、事前に税務署長へ届出をし、e-Tax用のID・パスワードの通知を受け、これらを管理・入力するものです(平成30年1月以降、確定申告会場などで「ID・パスワード方式の届出完了通知」を受け取っている方は、すでにID・パスワード方式に対応したIDをお持ちです)「マイナンバーカード方式」では、「ID・パスワード方式」のように、事前に税務署長へ届出をして、 e-Tax用のID・パスワードの通知を受ける必要はありませんが、結局マイナンバーカードなしでも電子申告が可能になったわけです。マイナンバーカードとカードリーダーが必要なことがネックでe-taxをやっていなかった人たちを取り込むことが目的だと思います。結局マイナンバーカードがいらなくなる….
マイナンバーの2019年問題
2016年1月1日以降に新規に投資信託等の証券口座開設をする場合にはマイナンバーの通知が必須になっています。それ以前に開設された口座については3年間の猶予が与えられていましたが、2019年1月にその猶予期限を迎えます。証券会社から通知等は皆さん来ていると思いますが、この12月末までにマイナンバーを証券会社に提出しなければなりません。これを提出しない場合の対応はホームページ等を見ても具体的な記載はありませんがもしかしたらある程度取引が制限されるといったこともあるかもしれません。提出しないことによる罰則規定はないため、この規定も形骸化する恐れはあります。顧客としては証券会社にマイナンバーを提出するのはやはりある程度抵抗はありますし、証券会社の方は顧客と関係省庁との板挟みになっているのではないでしょうか。
証券会社に対するマイナンバーの提出の義務化はやはり個人資産の把握による脱税の防止といった側面が大きいと思われます。特にこちら側が便利になるという目的ではありません。不正を防止することはもちろん大事ですが、少し位こちらが便利になるようなマイナンバーの利用方法を増やしてほしいものです。
編集後記 年賀状書き終わりました….例年にない早さです。あとは大掃除だけ。