今日12月14日は税理士試験の合格発表の日です。
何年も前のことですが合格が決まった日のことはいまだに忘れられません。会社のパソコンで官報を検索し、自分の名前を発見したときは本当に涙が出ました。それだけ苦しんだ受験生活でした。もう二度と受験したくありませんし、心なしか毎年税理士試験の時期が近づくと、体が条件反射を起こすのか体調が悪くなります。
税理士の試験勉強を開始したのは大学3年生の秋からでした。ほとんど単位を取ってしまい、後期の授業はゼミだけという状況になったことと、漠然と何か資格を取りたいなと思った、じゃあ自分は何を受けるべきかと考えたときに経済学部だから税理士かな?と思った、それぐらいの動機でした。大した志があったわけではありません。就職活動をしたくなかったというのも動機かも…今冷静に考えるとなんて適当だったんだと思います。
最初の受験は大学四年生の8月、簿記論と財務諸表論を受験しました。
ここで税理士試験について解説します。まず税理士に合格するためには簿記論、財務諸表論という必須科目二つと、いくつかある税法科目から3科目を選びそれに合格する、つまり計5科目の試験に合格する必要があります。5科目同時に受験する必要はなく(というか常人には無理ですが…何年か前には5科目同時合格という猛者がいたそうです…)1年に1科目ずつでも大丈夫です。仕事をつづけながらでも合格が可能といわれる理由がここです。試験については…ちょっと異質な試験だと思います。簿記は計算のみ(レベルは日商簿記1級の商業簿記より少し高いぐらい)、そのほかの科目は理論問題と計算問題が半分づつ出されます。その理論試験というのが教科書の丸暗記です。これが本当につらい…法律文章なので、で、に、を、は、又は、及びなど接続詞も完ぺきに答えないといけません。電車の中とかで文庫大の本を読みながらブツブツ何か唱えている人がいたらその人は税理士試験受験生かもしれません…その丸暗記が実務で役立ったのかというと、微妙かも。計算問題は実務でも役立っています。科目によっては全問正解でないと合格できない科目もあったりします。試験日は8月の上旬で、合格発表は12月の上旬です。そう、合格発表までが長い!これを待つのもつらいんです。なんでこんなに時間がかかるかというと、問題の作問者である実務家や大学教授の先生が、自分の担当部分を自分一人で採点しなければいけないからだそうです。試験結果に全く自信がない場合には開き直って9月から勉強始めればいいですが、中途半端に自信があるとこの期間の使い方に非常に困ります。
1回目の受験は無事に2科目とも合格しました。思えばここで税理士試験って大したことないかもって勘違いしたのがいけませんでした。そのまま就職活動せずに卒業し、2回目の受験を迎えました。法人税法と消費税法を同時に受験しましたが…見事撃沈。税法科目は受験者のレベルが全く違いました。通常税理士を受験する人は私と同じように、簿記論と財務諸表論を受験します。これに合格した人たちが税法科目を受けていくパターンが多いように思います。税理士試験の各科目の合格率は10%から15%になるように調整されます。簿記、財務諸表論の壁を越えてきた人が税法に挑むわけですから、レベルが上がって当然です。2年目は完全に試験をなめていたと反省しています。自分は財務科目が得意なだけでした。
心機一転、3回目の試験勉強は人生で一番勉強した一年だったと思います。就職せずに受験浪人していましたから、朝9時から17時くらいまで授業を受けたり、自習室にこもって勉強し、夕方から夜中まで居酒屋バイトという生活を続けました。直前期はバイトもやめ一日12時間ぐらい毎日勉強しました。結果法人税法と消費税法に合格しあと1科目を残すのみとなりました。そして…ここからがまた長かった…残り1科目になった時点で、そんなにフラフラしているわけにもいかないので試験が終わった8月に就職しました。残り1科目は仕事をしながら勉強しようという考えでした。事務所として受験にかなり協力していただいたにもかかわらず、2回連続で残りの相続税法が受からない….普段の模試の結果は悪くないのになぜか受からないといった状態で、自分でもどうしていいかわからない状況でした。かといって勉強方法を変える気にもならず、ひたすら文章暗記して計算問題解きまくるということを繰り返しました。毎日会社が終わってから専門学校の自習室に向かい、学校が閉まるまで勉強という生活を続けました。そしてやっと合格!親と今の嫁に泣きながら電話しました。就職せずに税理士試験続けるといった自分を、何も言わず見守ってくれたことにほんとに感謝しています。
某専門学校のテキストの一番後ろに書いてある言葉が僕は好きです。「税理士試験に必要なのは10%の才能と、90%の努力である」だったかな?細かい部分は違っているかもしれませんがほんとにこの通りの試験だと思います。
今税理士という資格はあまり人気がなくて、受験者数が10年前の20%ぐらいに減少しているそうです。就職が売り手市場なのと、将来税理士という仕事がなくなってしまうといわれているのが大きな理由でしょうか?記帳代行や申告書の作成などの当たり前に税理士が行う仕事は確かになくなってしまうでしょう。でも自分の得意分野を生かしたコンサルティングやAI会計の導入支援、経理の効率化コンサルなど携われる仕事はたくさんあります。経営者の一番の相談役としてサポートできるのが税理士です。苦労して税理士を取ってよかった!そう言えるように仕事を頑張っていきたいです。
編集後記 PAYPAY終了しましたね。うちは結局特にほしい電化製品がなかったのでドラッグストアやビックカメラで消耗品を買いだめしました。お酒も買いだめ…結局無駄遣い?